第三回 瓦ブログ

皆さんこんにちは。RWTA歴まち保存研究部会の加藤です。
皆さんのご自宅の屋根をじっくりとご覧になったことはございますか?
どんな色をしていますか? 形はどんなですか? どんな屋根材で葺かれていますか?
今回は屋根材の種類と色のお話から…
厚みのないフラットな屋根材でしょうか? それでしたら金属屋根材かもしれません。
または、彩色無石綿スレート材(通称カラーベスト)、アスファルトシングル材かもしれません。
これらの屋根材は、お客様の好みに合わせて沢山の色が使われています。
材料に着色をすることで、自由な色を作り出せます。
(実際には、コストの関係で、需要が多い色に限って生産されていますが)
いやもっと厚みがある屋根材だとおっしゃるお宅の場合、屋根材は瓦でないでしょうか。
瓦といいましても、材質によりセメント瓦、コンクリート瓦、粘土瓦等に分けられます。
セメント瓦は、戦後に各地で作られて多くの家に使われましたが、現在は作られていません。この瓦は、基本的に着色が無いため、セメントそのものの色です。
コンクリート瓦は、30~40年前の洋風の建物に多く採用されて、20年程前まではよく使われましたが、最近は数が減っています。この瓦は、着色により色々なイメージの屋根を演出してきました。
さて、最後にご紹介するのが粘土瓦、粘土で形成して窯で焼いて作る瓦を総称して粘土瓦と呼んでいます。釉薬を使って色をつけた釉薬瓦と釉薬を使わない無釉瓦があります。
釉薬瓦は、使う釉薬により多くの色を作り出せます。
無釉瓦のうち、素焼き瓦は、焼成により土の中の鉄分が酸化して赤くなります。
そして無釉瓦の真打、いぶし瓦。焼成の最終課程で窯を無酸素状態にして焼き上げる事で、
いぶし銀の色に焼きあがります。そしてこのいぶし色は、年を重ねて少しずつ変化して風格を増した色になっていきます。
古都、奈良・京都の景観、各地に残る伝統的な町並み、お城やお寺に多く使われ、日本らしい景観を象徴する屋根と言えばいぶし瓦ではないでしょうか?


但し、地域によってはいぶし瓦がその土地の象徴ではない場合があります。
山陰地方には赤い瓦の景観が見られます。
来待石を釉薬に使った瓦で、代表的なものは日本三大産地の一つ石州瓦。
又、同じ赤瓦でも紅柄を主成分にした釉薬を使った「越前瓦」は、特殊な高温還元焼成という製法で、すべりにくい表面に仕上がり、雪の多い北陸ならではの瓦といえます。
北陸はみな越前瓦かというと、石川県能登地方は「能登瓦」と呼ばれ、真っ黒な釉薬が使われています。
ただ、能登地方も、もとは越前と同じ赤瓦でしたが、後に釉薬にマンガンを入れることで
黒い瓦を焼くようになったらしいです。
瓦の色は、その土地を象徴するものといえますね。