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第四回 瓦ブログ

自然災害と瓦施工の変遷

 土葺(どぶき)とは瓦の施工方法のうちのひとつで、つちふきともよばれます。瓦の歴史は現在のところ明らかではありませんが、現存する最古の瓦は、中国の陝西省岐山県にある西周初期の宮殿遺跡から出土したもので、今から約3000年も前だそうです。日本では西暦588年以降のことと考えられていて『日本書紀』に記載があり、この時法興寺(飛鳥寺)が造営されたようです。710年平城京遷都の際に建造物の一部や瓦も移された元興寺ですが、昭和30年代に解体修理が行われた際屋根から降ろされた4413枚の瓦のうち、法興寺から運ばれたものが約600枚、そのうち法興寺創建時のものが、約170枚も使われていました(*)。つまり1400年歴史があることになります。

 話を戻しまして、土葺には大きく二つの方法があり、べた葺きは野地板全体に土を敷き詰めて葺くもので、防火、防盗などの効果だけでなく、施工面では多少の屋根地の悪い場合でも修正しやすく、葺き上げてからも瓦が安定しがたつきが少なく、断熱効果も高い。しかし屋根の重量も大きくなり、小屋材や柱の断面は大きなものを必要とします(*)。瓦の谷の部分に葺土を筋状に置いて葺く方法でありべた葺きに比べると、多少屋根の重量が減ります。

 また土葺きは、土を下地として瓦を載せているだけで、瓦本体は固定されておりません。その理由は地震対策ではないかとされています。わざと重くすることで上下の揺れを防ぎ、大きな揺れが起きたとき瓦がずれ落ちるようにして、建物が崩壊するのを防いだのです。ひと昔前の家は、傾いただけなら元に戻すのは比較的容易ですし、土葺きの土も再利用できる。しかしそこには注意点があり、瓦も建物自体も経験のある職人が必要条件になります。現在の屋根を軽くして耐震性を高める発想とは真逆ということになります。

 もう一つの瓦の施工方法である引掛け葺きは過去の大きな震災により進化していきます。100年前の関東大震災により多くの日本瓦屋根に被害が発生し、土葺きは衰退しました。建築基準法の前身である市街地建築物法で規制されたことによります。引掛け葺きは、屋根下地に瓦桟を瓦の葺足にそろえるような間隔で打ち、これに瓦を引掛けて葺くものです。これにより屋根が軽くなり施工も簡素化されたこともあって日本瓦は引掛け葺きが主流となりました。その後60年前の伊勢湾台風で瓦が飛ぶ被害が多く出たことから旧建設省告示109号により基礎や耐久力壁の強化とともに瓦の緊結が義務化されました。屋根瓦は、軒及びけらばから2枚通りまでを1枚ごとに留め付けることになりました。

 70年前に設立された住宅金融支援機構でも条件が示され、棟は1枚おきごとに、銅線、鉄線、くぎ等で下地に緊結し、又はこれと同等以上の効力を有する方法となりました。

このころ棟部は大回し工法が主流となっていきます。

 30年前の阪神淡路大震災を受け、建築基準法改正されたこともあり、瓦屋根標準設計施工ガイドラインが発行されました。これにより平部にも数段おきに釘打ちするようになり、耐風・耐震性能を担保する施工が推奨されました。この時平部の釘打ちは大幅に変更され、千鳥打ちまたは全数釘打ちが広まった。この頃に土葺き工法は標準工法から外れていきました。

 さらにこの頃防災瓦も登場しました。ガイドラインの制定により瓦の耐風性能の評価方法が確立し瓦自体の改良で、耐風性能を向上させるというものです。さらに基準風速も32m/sから基準風速46m/sに向上しました。令和4年1月には建築基準法改正告示109号施行により平部は全数の緊結、軒・けらばは3本の釘等での緊結、棟は下地に緊結した金具に芯材を取り付け、冠瓦は芯材にねじ留めすることになりました。

 (*)愛知県陶器瓦工業組合公式サイトより